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お知らせ

「公正なる会計慣行ー公認会計士と弁護士の認識の違いー」の公表について

2012.08.09

日本公認会計士協会近畿会 監査会計委員会

「公正なる会計慣行ー公認会計士と弁護士の認識の違いー」の公表について

■はじめに
近時の「公正なる会計慣行」を取り上げた判例事例から「公正なる会計慣行」の適用状況について、公認会計士(日本公認会計士協会近畿会所属)と弁護士(大阪弁護士会所属)、及び会計・監査を研究する学者の3者によるシンポジウムを実施し、各々の立場からその主な論点を整理し、会計・監査専門家と法律専門家の認識と課題の共有化を図ることとした。


■「公正なる会計慣行ー公認会計士と弁護士の認識の違いー」に関するディスカッションペーパーの主な内容 

●判例事例等から結論できる「公正なる会計慣行」の取扱い
(1)法的に正当性を有するルールは企業会計審議会と企業会計基準委員会の規定するルールであり、その他のルールには法的な正当性はない。日本公認会計士協会の委員会報告等も同様に法的な正当性はない。 
(2)金融商品取引法に規定する「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」より会社法の規定する「公正なる会計慣行」の方が範囲が広い。従って、上場していない会社に関しては会計ルールの適用範囲にさらに幅が出てくる可能性がある。 
(3)公正なる会計慣行とそれを補足する条件を遵守すれば真実性が実現するが、それは相対的な真実性である。 
(4)(1)~(3)により「唯一無二」といった言葉とはなかなかそぐわないケースがある。 
(5)最終的には裁判所が「公正なる会計慣行かどうか」を判断するが、現実には会計監査で公認会計士が、行政処分で証券取引等監視委員会が判断している。 
(6)「その時点で他の会社はどのように処理していたか」という慣行がキーワードになる。 
(7)弁護士は「公正なる会計慣行」を法律と同視したがる傾向にある。表現を換えると会計処理云々といった結論よりは、会計事実がどうだったか、つまり公正なる会計慣行の判断が必要ないロジックで結論付ける傾向がある。 
●今後の課題 
(1)第三者委員会の構成メンバーはどうあるべきか。また、「公正なる会計慣行」に関して、どこまでの内容を結論できるのか。 
(2)会社法での大会社や上場会社以外の会社が適用すべき「公正なる会計慣行」はどのように考えればいいのか。 
(3)IFRSは「公正なる会計慣行」といえるのかどうか。


■公表の趣旨 
公正なる会計慣行としての会計処理が法廷でどのように取り上げられるかは、意外に公認会計士は知らない。また、公正なる会計慣行が絶対的真実性を満たさないがゆえに弁護士はあまり取り扱おうとせず、最高裁判決も同じ傾向にあるのではないかとの見方すらできてしまう。従って、公正なる会計慣行は公認会計士からすると手あかのついた言葉ながら、法廷の場では弁護士も判事も意外に取り上げたがらないことを知るべきである。
逆に、法廷は取り上げなくとも、公正なる会計慣行に則した処理かどうかを判断する行政処分が現れてきている。 
 現在は細則主義による会計ルールが適用されている。しかし、IFRSの影響を受けて原則主義へ置き換わろうとしている。将来的には、そのIFRSが導入されることになる可能性は高い。細則主義でも判断が分かれるケースはあるのに原則主義になるとどのような問題が発生してくるのか。公正なる会計慣行に触れる機会が最も多い公認会計士にそういった状況を理解してもらい、公正なる会計慣行の相対的真実性を弁護士に理解してもらう必要があるためである。

■問合せ
 ・日本公認会計士協会近畿会:監査会計委員会
   (事務局:和田 E-mail: n.wada@sec.jicpa.or.jp)

■「公正なる会計慣行ー公認会計士と弁護士の認識の違いー」の論点整理
 <公正なる会計慣行ーに関するディスカッションペーパー> 
https://www.jicpa-knk.ne.jp/pdf/kansakaikei_h240329.pdf
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