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お知らせ

「監査人の民事責任に関するディスカッションペーパー」の公表について

2012.08.09

日本公認会計士協会近畿会
監査現場再生特別委員会

「監査人の民事責任に関するディスカッションペーパー」の公表について

■はじめに

我が国において、会計不正が司法の場で問われるケースが増えており、賠償能力の高い監査法人が訴訟の対象とされる傾向から、今後、法律専門家の関与が増加することが指摘されます。そこで、日本公認会計士協会近畿会(以下、「近畿会」)は大阪弁護士会に呼びかけ、平成22年6月26日に会計・監査論の学者を加えた「会計不正判決に関するシンポジウム」を共催で実施しました。

■「会計不正事件」に関するディスカッションペーパーの主な内容

 上記シンポジウムで、実際の民事判決の具体的な争点を各々の立場から検討を加えた結果、会計監査専門家と法律専門家の間で、その思考過程や基本的認識において大きな隔たりが存在することが明らかになりました。主な内容と今後の課題は次の通りです。

・財務諸表監査の目的は時代背景とともに変化しており、現在では重要な虚 偽記載(粉飾決算)の発見も主要な目的とされることから、監査人が問わ れる"正当な注意義務"について会計及び法律の二つの側面からより深く 議論されるべきである。その為に、会計監査人は「監査の限界論」に依存 するのではなく、司法の場で監査リスク・アプローチの法的立証が求めら れている事を直視する必要がある。
 また、会計不正事件の結果責任が監査人のみに求められる事の無いよう、 企業統治の観点から法的に自らの正当性を主張していく必要があり、ひと つに、監査において他の専門家の知識やスキルを積極的に活用していく事 が有効な方法となるであろう。

・今後の課題としては、監査における"重要性判断"が極めて抽象的である ことから、監査が組織的かつ合理的に実施されたか否かを客観的に検証で きる判決事例を蓄積して行く必要があり、また、行政処分や日本公認会計 士協会処分が存在する場合は、その処分内容についても比較検証していく ことが有用である。
 更に、近時、第三者委員会による不正事件の調査結果が公表され、これと 並行して訂正有価証券報告書が開示される実務慣行が定着しつつあること から、これらの適正性についても注視して行く必要がある。

■公表の趣旨

 会計不正事件判決の評価は利害関係者により多様であり、特に民事事件に関しては個々の事件背景が異なり、かつ情報入手等の多くの制約が存在します。しかし、これら判決事例の比較検討を専門家自らが学者を交え議論し公表することが、経済インフラである財務諸表監査制度の健全な発展において不可欠です。今回のシンポジウムの内容を近畿会ホームページに「ディスカッションペーパー」として社会一般に公表する事で、多くの関係者の間で会計監査と司法の学際的な議論が深まる機会になることを期待します。

■問合せ
 ・日本公認会計士協会近畿会:監査現場再生特別委員会
   (事務局:和田 E-mail: n-wada@jicpa-knk.ne.jp)
 ・大阪弁護士会:弁護士業務改革委員会
         (事務局:河野 E-mail: y-kouno@osakaben.or.jp)

■「会計不正事件」判決の論点整理
 <監査人の民事責任に関するディスカッションペーパー>
 https://www.jicpa-knk.ne.jp/pdf/kaikei_discussion_paper20101125.pdf

以上
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