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お知らせ

「内部統制の共通理解(認識)に向けて」のディスカッションペーパー」の公表について

2013.08.19

日本公認会計士協会近畿会 監査会計委員会

「内部統制の共通理解(認識)に向けて」のディスカッションペーパー」の公表について

■はじめに
日本公認会計士協会近畿会(以下、「近畿会」)は大阪弁護士会に呼びかけ、第一弾として「会計不正判決に関するシンポジウム」を共催で実施し、その第二弾として、平成24年3月に「シンポジウム 公正なる会計慣行を考える」を実施しました。その結果として、会計監査専門家と法律専門家の間で思考過程や基本的認識において大きな隔たりが存在することが明らかになりました。
平成25年3月に、第三弾として会社法の内部統制と金商法の内部統制に関し、会計学・会社法の学者を交えて、大和銀行ニューヨーク支店巨額粉飾事件、ヤクルト株主代表訴訟事件、日本システム技術事件の判例を分析することで内部統制がどのように判例事例で取り扱われてきたかを、近畿会と大阪弁護士会共催で実施しました。

■「内部統制の共通理解(認識)」の論点整理
会計(監査)は取引高(例:売上高)の監査をする場合に、全件証票突合により監査時間費用もかけていられないから、会社が正しい経営判断を下すために構築した内部統制の整備状況を検証し、サンプルテストにより運用状況の有効性を検証する。したがって、会計(監査)は今の内部統制をチェックしている。
一方、会社法では役員の内部統制構築義務違反を法廷で検討することになるので、実際の運用時期より後で検証することになる。すなわち、書面や規程といった文書を基準にして主に整備状況を検証する。したがって、会社法は過去の内部統制をチェックしている。
そこから弁護士と会計士の内部統制に対する認識の違いが出てきている。それを浮き彫りにするのが目的である。
(1)金商法(会計上)の内部統制は、財務諸表監査のロジックで必要な考え方であった。それは1950年代で導入を企図されている。監査(=内部統制監査)が導入されるので内部統制という考え方が企図されたわけではない。
(2)会社法上の内部統制では「大和銀行ニューヨーク支店巨額粉飾事件」が最初に取り上げられた判決である。判決が出た時期は2000年である。
(3)役員の善管注意義務違反を争点として、会社法上の内部統制が検討される。ただし、その整備状況が争点になっており、運用面に関してはあまり裁判では論じられていない。
(4)会社法上の内部統制の運用面に関しては、「信頼の抗弁」という考え方がポイントになり、業務担当外の取締役について、その責任を問うのは難しい。
(5)金商法(会計上)の内部統制では、整備状況と運用状況の両方が検討対象になる。しかし、財務諸表監査でも内部統制監査でも全部の内部統制運用状況を検証しているわけではない。
(6)したがって、監査人が適正意見を表明していることを役員の内部統制構築義務違反がない論拠として判決で用いているのは誤りである。
(7)会計不正はノンコア事業から発生するケースが多い。単年度の不正額は少額でも、何年か累積すると巨額の粉飾額・私消額になるケースがある。

■公表の趣旨
・弁護士と会計士の違いを認識してもらうためである。
(1)内部統制の整備状況だけでなく運用状況が重要になる。開示面で運用状況を会社法が取り込むならば、裁判の上でも検討・俎上に乗せる対象にするべきである、
(2)内部統制に関して、会計(監査)の期待ギャップ面を世間により知ってもらう必要がある。

■問合せ
・日本公認会計士協会近畿会 監査会計委員会
(事務局:和田 E-mail:n.wada@sec.jicpa.or.jp)

■「内部統制の共通理解(認識)の論点整理」
 https://www.jicpa-knk.ne.jp/pdf/kansakaikei_h250326.pdf
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